「今日も元気で」 矢島一美

選評 : 全日写連関東本部委員 中村明弘

明快な色彩の組み合わせと、描かれているモノの形のこれまた明快さとが、内容も含めて、さわやかな写真を作り上げている。

赤いレスキューチューブとショートパンツ、夏空に白い雲、深い緑の木々。そして炎天下の砂浜には黄色のテントをはじめ色鮮やかなモノたちが、かけらのように配置され、ポイントを作っている。原色こそが似合う季節であり、場所でもある。

ライフセーバーの健康的な笑顔もすばらしい。もちろんこの笑顔は撮影者が引き出したものにちがいない。撮影者との信頼関係うかがえる。こんな笑顔を引き出した撮影者がうらやましくなる。

やや下からあおっての撮影が、この若い女性のたくましさを出した。標準の50ミリ前後のレンズで撮ったがゆえに不自然な強調もなく、非常に素直なポートレートになっている。そのことが、人の命を守ろうとする仕事に関わる若い人のさわやかさを、見る者の心にすっと素直に伝えてくれていることに、つながっているのだろう。

「今日も元気で」 矢島一美