「唐津くんち」 渡邊修一郎
選評 : 全日写連関東本部副委員 神尾一
撮影は佐賀県の唐津でされた様だが、荒っぽい引手祭りとしてよく知られている。作者はこの迫力を、手前の主題をブラシ、其の曳山を宿?の二階から見物客が見下ろすと言う表現方法で表している。祭りの荒々しい雰囲気や、迫力が伝わって来る良い作品である。但し、観客が二階席から祭りの主役である山車や、大蛇の様な物を見下ろして楽しんでいると言う作品は、飛騨高山や、祇園祭、河内等の関西方面の祭りでは定番の写真なので、目新しとさ言う点ではだいぶ損をしている。スローシャッターの使い方も巧いが、この作品では主題の曳山の形と言うかボリュームが小さいのでもう少し曳山の形状をはっきりわかるように写しても良かったのではないか?曳山の種類も、確か酒呑童子をはじめとして、武田信玄や上杉謙信などの武将物や、獅子や鯛など色々な種類が有った筈で、それらを形状の明確な物を主題としても迫力の有る写真が撮れたのではないかと思う。この作品では、二階席の観客が主題の様に見えてしまうのは筆者だけであろうか?この作品を機に流し撮りの祭りの写真の分野にもっと挑戦してみると、より個性のある作品が生まれると思う。