「満面の笑み」 池田三吉

 選評 : 全日写連関東本部委員 中村明弘

 作者によると、遺影を撮ってほしいと親戚の女性に頼まれ、庭で何枚か撮った後、家に戻っての一枚がこの写真、ということである。リラックスした何とも言えない笑顔のご婦人。撮る人への信頼感からきているのだろう。「まだ撮るの?」と少し照れる姿も魅力的だ。この作品は、写真が撮る人と撮られる人の関係性から生まれるということを、如実に物語っている。左からの自然光を柔らかく生かし、人物の存在を「くきやかに」描き出すことに成功した秀作である。