「回顧・皆さんオゲンキデスカ?」(組) 水野隆子
選評 : 全日写連関東本部委員 中村明弘
3枚をつなげる具体的なものは見当たらない。しかし、この作品の奥深い所で何かがつながっているような思いにさせるものがありそうだ。①祝い事で並んだ一塊の人物たち。②ガラス戸の向こう側から外を眺めている猫。③建物群がひしめく地上の世界。それらに共通したものは撮影者との距離の遠さである。②の猫は近いがガラス戸に隔てられ、通じ合うというものではない。そうしたモノたちが並ぶ作品からは、ある種の疎外感や閉塞感のようなものが伝わってくる。作者に、この3枚をこのように組ませたものは何だったのか。それは知りようもないが、こんな思いに駆られる「今」という時代に共に生きているものとして、共感するところは少なくない。この作品がどのように人の心に届くか、それは見る人の感性にゆだねてみたい作品である。