<総評> 審査員 土田ヒロミ先生

今回の応募状況。昨年に比して人数10%、作品数ではカラーの部15%、モノクの部23%、と共に大幅な増加があった。日常の写真活動の活性化の現われとして、うれしい限りである。

アマチュア日本一と云われる静岡県だけあって、3部門共にそのクオリティーの高さには、眼を見張るものがあった。プリントの技術的水準が高く、伝統的ともいえる人物スナップショットに類する作品が中核をなし、風景、事物など幅広い分布を示していて、日常の幅広い表現活動に支えられていることを伺うことが出来た。

◆カラー写真の部

平均的に良質な作品が多く、いざ、最終の上位決定に至って、優位差を付けるのに困難を感じた。実力拮抗状況にあるようである。優れているが、デジタルデータの解像力不足から、入賞から外される作品もあり、プリントサイズの大きさに合わせたデジタルデータサイズに注意を払いたい。

◆モノクロ写真の部

かつて、銀塩からデジタルへの移行期、モノクロ作品が減少する傾向が見られたが、最近は暗室から解放され、手軽にカラーからモノクロさらにプリントへの変換技術を習得し、復活の兆しうれしいことである。モノクロによる制作は、構成力の基本が問われるもの、初心者もおおいに学びたいものです。

◆組写真の部

組写真という表現は、単写真をよく学習した者に開かれたジャンルと云われている。組みを構成するそれぞれ単写真が必ずしも一枚での完成度が高くなくても、他と組むことで、一つのイメージを獲得したり、物語を紡ぎ出したりするものだ。多様な写真イメージを読み取る学習、や能力が不可欠。写真王国・静岡だからこそか、多くの良作に溢れ、選考には一番難しい作業になった。