第60回静岡県写真展 上位入賞作品

写真展の会期 : 平成27年9月8日(火)~13日(日)
会場 : 静岡市清水文化会館マリナート ギャラリー(全面)
◆審査総評 写真家 土田ヒロミ氏
総評
静岡県写真展が記念すべき60回を迎えた今年のコンテストは、各部門とも、応募者、応募作品ともに最近になく増加していることは喜ばしいことである。
応募作品内容は、各部門共に日常や祭事のスナップショットが体勢を占めており、他県と比べても人物スナップショットの多さは、静岡の特徴といってよいだろう。60年培った伝統がそうさせているのだろう。
カラー部門、デジタル出力の技術的修達度が上がりプリント作成の質の上下の巾が少なくなっているが、出力の技術的上限は、ソフトの発達など予測を越える長足の進歩があり、更なる技術力を求める者が、カラーにととまらずモノクロも共に今後の表現の巾を大きく広げるであろう。いっそう学習を。
モノクロの部は、デジタルカラーデータをモノクロ変換によりプリント作品化する技術の広がりで、一時の減少傾向から立ち直り復活の傾向がある。歓迎すべきことだが、撮影時のカラー認識をモノクロに置き換えるという能知覚のズレがあり、モノクロ変換に適合するイメージか否か判断出来る力量を育ててゆきたい。
組写真の部門、以前から静岡は、「組の王国」といってもよいほど質量とも誇ってきたが、近年はそれに加えて、若い世代の影響で、これまでのカテゴリーにない多様な作品群をさらに輩出している。三部門の中で最も新しい良質な作品が増加の傾向をしめしている。組写真は、単写真を極めた後進むべきとする従来の考え方を改め、個性を見極めた上で、最初から組み写真から入る指導の道も検討すべきだろう。