第64回静岡県写真展
総評 小林紀晴
今回、審査をさせていただき強く感じたことがあります。いかにイメージをもって臨むかということです。あらかじめ自分のなかに、どれくらいイメージをもって撮影しているか。これがとても大事です。存在する、しないでは撮影現場でのモノゴトの見え方が大きく違うからです。被写体選び、フレーミングはこの延長にあります。写真はカメラのシャッターを押せばもちろん簡単に写ります。それは当然のことですが、例えば「ゆめまぼろしのイメージを撮りたい」、あるいは「遠い記憶をイメージしよう」など、あらかじめ強く意識していたならば、そんな場面が意外と目の前に広がるものです。理想はそんなふうに見えて来た瞬間、場面だけにシャッターを押せばいいのです。簡単なことではありませんが、慣れ、訓練みたいなものです。上位の作品にはあらかじめそれらを持って撮影していると感じさせるものが幾つかありました。是非、みなさんも撮影に向かうとき、仕上がりをイメージしてみてください。出来上がる写真は必ず以前とは違うものになるはずです。