「ジャンプ」 鈴木儀雄
選評 : 全日本写真連盟関東本部委員 山村行志
シャッターチャンスで言えばもう一瞬あと。坊やの足が離れた瞬間ですが、雰囲気は感じられますね。主役は右の二人かもしれませんが、とてもカラフルで、左の坊やとの間に連帯感があるように感じられます。
そして何より巧いのは、撮影場所が神社の前のようですが、大人たちがいろいろな願い事をして、一所懸命にお祈りをしています。それをバックにして子供世界が大人の世界と石段を境にまったく違う展開なんです。
普通ですと、手を合わせている大人たちを狙いそうなんですが、作者は手前の家族を待っている子供たち三人に焦点を絞ったことが成功したと思います。
後方左端のすばらしい足をした女性の靴がとてもおしゃれですよね。また、もう一人真ん中ぐらいにすらりと伸びた足の女性もいます。これらが主役の三人を支えています。
目の前に展開する情景で何を狙うか、何を主役に絞るかということの大切さ。作者は、見事に作品にしました。
「ジャンプ」 鈴木儀雄