「幸せの詩(うた)」   矢島 一美

選評 : 関東本部委員   中村 明弘

画面全体から幸福感のあふれてくる写真である。桜の描くアーチと親子の大きさのバランスもよかった。川べりに続く枯草や左奥の黄色い菜の花、それらの明るさが、手前の桜や人物を浮きだたせ、写真をいっそう華やいだものにした。だが、なんといっても、人物が満開の桜と同格か、またそれ以上に輝いているのが素晴らしい。春の柔らかな西日を受けた若い夫婦の表情、二人の会話を聞いているかのように顔を向ける赤ちゃん。すべてが、作者の「いいな!」と心を捉えた瞬間だったのだろう。それが丸々伝わってくる写真である。

「幸せの詩(うた)」  矢島 一美