「どんど焼き 竹飾り」 静岡市清水区吉原

関東本部委員 中村明弘 2016年1月10日撮影

■撮影者コメント

高圧送電線が頭上を通る山間の小さな公園に、大人たちが集まりどんど焼きの竹飾り(当地では何と言っているのか聞けなかったが)を作っていた。この日は1月10日、四日後のどんど焼きに備えるためだそうだ。

この村のどんど焼きは有名だよ、と得意げに話すおじさんが、大きなスクラップブックを見せてくれた。そこには、これまで作った竹飾りの写真がたくさん貼ってあり、作り方も丁寧に書かれていた。地元の人たちにとってこの「竹飾り」は、たいそう自慢のものらしく、これをどんど焼きで燃やしてしまうにはもったいないほどきれいで、手の込んだものだった。

昼飯時には、「ほらっ」とスチロール製の丼にいっぱいのトン汁を差し出された。それからサランラップに包んだおにぎり、紙コップにお茶、と次々目の前に出てきた。友人と二人で恐縮しながらいただいた。昼飯はどうしようかなどと話していた矢先だったので、ラッキーだった。

  一時間ほど村の中をぶらぶらと歩き回ってから戻ってみると、ちょうど竹飾りが立つところで、7、8人の男衆の緊張した声が飛び交っていた。この写真は、完成して飾りの手直しをしているところ。この人たちの耳には、どんど焼きに集まる人々のざわめきや歓声が、もう聞こえているに違いない。得意満面、その笑顔が何ともたくましい。そんな彼らがちょっとうらやましくなった。

周囲は意外なほど静かで、あのトン汁を振る舞ってくれた女衆の影は、もうどこにもなかった。「14日の4時に来りゃあ酒が出るぞ!」という声を背中に、なんだか豊かな気持ちになって、帰途に就いた。

「どんど焼き 竹飾り」  中村明弘