「 追憶 」 鈴木 文雄

選評 : 全日写連関東本部委員 山本 敦美

昔、良質な木曽檜を搬出するために大活躍していた木曽森林鉄道のディーゼル機関車と、作業員や住民の足として使われた客車が、奈良井宿観光案内所駐車場にひっそりと置かれている。重い荷物を運搬するための頑丈な車体と部品が長年風雨晒され錆びて痛々しいが、往時の活躍を知る人達にとってはこの重厚なボディを見る度に頼もしかった頃の記憶を新たにしていることであろう。三枚の組の視点も良いし、モノクロにしたことで「追憶」のイメージが増した。