「奇跡のクスノキ 土壌改良」 静岡市葵区

全日写連関東本部委員 中村明弘 2018年3月1日 撮影

■撮影者コメント

弥生一日、春一番が「春の嵐」にとなって吹き渡る中、「奇跡のクスノキ」の土壌改良が行われていた。このクスノキは、73年前に2000人以上が犠牲になった静岡空襲で街と共に焼かれたが、その3年後に黒い炭のようになった幹から芽吹きはじめ、今は高さ15メートルの大木となっている。

このクスノキ、近頃は枯れ枝が目立つようになり、「平和の大切さを伝える木」として守って行こうとする人たちから「なんとかしてほしい」という声が上がっていた。そしてこのクスノキ、水を求めて根っこを伸ばし周辺の歩道を押し上げ、市の道路管理の役人を心配させていた。その両者の「願い」が重なって、今回の工事となった。

突風に何度も帽子を飛ばされそうになりながら、掘り起こされた穴を覗くと、周りの土が除かれて、太い根っこが姿を見せている。土壌改良は、この根っこの周りに軽石と肥料を混ぜた新しい土を入れてやり、根の成長を促そうというものだ。

平成生まれの女学生たちが長い髪を風になびかせて通って行く。明るい笑顔が、春の訪れを知らせてくれているかのようだ。