「きけんなあそび」 池田是伸

選評 : 全日写連関東本部委員 中村明弘

突然の三角波に砂ごとひっくり返された女性(母親)と、われ関せずの小さな女の子。最初に目を引くのは、この女の子の方で、白い泡のようになって引いて消えて行く波の面白さに近寄って行ったにちがいない。その足跡がはっきり見える。すぐそばに激しい波しぶき…。ああ、こんな所に一人で…と思ったのだが、「危険な」のは母親の方だったか…。

作者によれば、ここは「三角波」の起こりやすい所だったらしいのだが、この程度のもので良かった。この写真はそんな突然のハプニングをさらっと捉えたもの。お母さんの印象がちょっと弱いのは残念だが、「波と人」が描く左半分の「動」と、右半分の「静」の対比を一枚の中に収めた面白さのある作品になった。このすぐ後の親子にどんなシーンが生まれたのか、それもまた「いい写真」になったかもしれない。

「きけんなあそび」 池田是伸