「馬方」  石川 昭

選評 : 全日写連関東本部委員 中村明弘

 白馬と並んで立つ馬方。逆光にあってやや影になったその横顔が、白馬に当たった光をバックに輪郭をくっきりと浮かび上がらせている。白馬の優しい横顔とも対比されて、実に存在感がある。腰に当てた手の、その指の堂々とした太さも印象的だ。馬方の口元に浮かぶほほえみは、白馬とともにここに居られる幸せ感からだろうか。「くつわ」を付けた馬の口元にも笑みが感じられる。画面奥、馬の右横にも一人いて、この二人で馬をはさんでいるらしいが、馬の大きな顔と同じ向きに並んで立つ馬方の落ち着いた姿に、人と馬の深いつながりを感じさせる作品である。プリントも見事で、モノクロ写真の特性をよく心得た美しい作品に仕上げている。