「湯気の向こうの匠」 野崎三郎

 選評 : 全日写連関東本部副委員 神尾一

 祭りの露店でのたこ焼き屋さんの様であるが、ご夫婦で営んでいるとは珍しい。恐らく撮影は,ご内諾頂いた後の撮影であろうが、ほっこりした感じ出ていて良い作品である。とかくこの手の作品は職人さんの手元や、たこ焼き事態によりがちなものであるが、作者はカメラを少し引いて手前のたこ焼きと奥様にピントを合わせ、その後ろのご主人をアウトオブフォーカスにしたことで、奥行き感やその場の空気感がよく表現されて居る。プリント技術も素晴らしく、たこ焼き本体や、上にかかったソースの質感描写も素晴らしい。撮影意図が明確な優れた作品である。但し、このタイトルに関しては長すぎるし、内容との乖離も感じられるので、一考を要する。