「街角でドッキリ」 樋田 進

 選評 : 全日写連関東本部委員 中村明弘

 道路端に置かれたベレー帽をかぶった女性の人形。ひざを曲げて中腰のままである。見るからに「昭和」のものらしいのだが、なぜこんなものがここに置かれているのだろう…。ここはいったいどこなのだろうか…。次々と湧いてくる疑問。二度見、三度見どころか、じっと見入ってしまった。懐かしいような、どこかで見たことがある様な気もするのだが…。不二家の店頭人形のペコちゃんは1950年代にデビューしている。その辺の時代のモノなのだろうか。後ろの風景が霧で霞んでいるので、遥か時代のかなたから登場して今ここに来た、というような感じにもなっている。作品はモノクロで、かなりきつい焼き込みをし、コントラストを高くしている。それがこの作品では効いている。ごつごつざらざらのひび割れた道路や縁石、暗く落とした左の壁、トタン板、…。そんな中、ぬるっとした肌触りの置物の人形には圧倒的な存在感がある。作者この被写体に出逢った時の驚き、興奮が伝わってくる。作品としての仕上げ作業にも熱中したに違いない。その気持ち、うらやましいくらいによくわかる。