「真夏の交差点」 諸伏敏明
選評 : 全日写連関東本部委員 中村明弘
茹だる様な暑さの中で行われた祭り…。通りには多くの人々がひしめいている。そんな光景を遠くに見ながら自転車に乗ったまま信号の替わるのを待つ若い女性。その後ろ姿である。シャツの背中の「RVCA(ルーカ)」の文字と絵のプリントが面白く歪んでいる。ハンドルから手を離しスマホか何かをいじっているせいでこんなSの字に体をひねっているのだろう。さらに、頭に注目したい。おそらく金髪なのだろう。てっぺんに差した髪飾りは、シャツのデザインと「おそろい」か? 大きめの黒の「グラサン」も見えている。シャツから覗く腕も健康的で、たくましさも感じられるこの女性。伝統的な祭りに集まる人々の姿も時代を反映し変わっていく。信号が変わり彼女はその祭りの喧騒の中に姿を消していくのだろう。そのつかまの出会い、と言っても後ろ姿だけであったが、作者の心にとどめておきたい何かがあったに違いない。祭りのにぎわいに作者自身高揚しながらも、日常を冷静に見る目が撮らせた一枚である。


