「福が舞う」 諸伏敏昭
選評 : 全日写連関東本部委員 中村明弘
三角袋に包まれた「福豆」が、まさに今、神主さんによってまかれたところ。神主さんの狩衣の袖が勢いよく翻り、伸びた指の先に「三角袋」が放り出されている。その三角袋が朝日を浴びて光る…。その瞬間を作者はとらえている。不思議なのは、誰もそれを「わがものに」と両手をつき出したりしていないこと。神様の前で清められた「福豆」は三方に載せられ大事にこの場に運ばれる。作者によれば、「豆まき」の儀式は、この写真の様にまず、社殿の角からまずまかれたそうである。数も少なく大事そうにまかれている。この後、「有名人」などによるにぎやかな「豆まき」が行われるのだろうが、その前の神妙な一瞬を撮ったということだろう。写真には、宙を舞う「三角袋」を暗闇の中から追うようにしてじっと見つめる男性が写っている。神社側の人のようだがその表情がいい。作品の中でこの一人の存在も効いている。

