「柱くぐりに挑戦」 諸伏敏昭

 選評 : 全日写連関東本部委員 中村明弘

「ああ、あそこだ…」とよく知られるロケーションである。ところがこの作品は、その「既視感」を見事にひっくり返している。モノクロに仕上げたことから、暗い画面の中、小さな四角の穴からにゅっと突き出された手と、掘りの深い顔だけがハイライト部となり、まるで何者かが異界からはい出して来たかのような強い印象を持つ作品になっている。「穴くぐり」をしている人物は外国の女性なのだが、よくもまあ、こんな狭い穴(幅約30cm)を抜けようとしたものだと驚かされる。「無病息災や祈願成就のご利益」が得られるといいのだが…。太い柱の表面の精緻な描写も一層強くこのシチュエーションの効果を高めている。まさしく通俗な日常を、非日常に転換して見せる「モノクロ」の醍醐味を感じさせてくれる作品である。