「花よりむすび」 吉野敦巳
選評 : 全日写連関東本部委員 中村明弘
おにぎりをほおばる少年。がぶり、がぶりと嚙みついた跡がしっかり残っている。首を大きくかしげているところが写真的には魅力的なのだが、それは、おむすびのひとかけらをもこぼさないぞと一無心なのだろう。おそらく母親の手作りのおにぎりに違いない。かなり大きい! 具は何だろうかと、つい見入ってしまった。この少年が頭をかしげたことで背景の桜や空、それに周囲の花見客が広く画面に入り、のびやかな気分に満ちたこの場の空間の広がりを感じさせるものとなった。こんなあたたかな作品が生まれたのは、元をたどれば、お母さんの手作りの「大きなおにぎり」なのである。

