「下町」(3枚組) 平田弘治
選評 : 全日写連関東本部委員 中村明弘
ベトナムにしても、台湾にしても、そしてフィリピンにしても、いわゆる「下町」というモノの持つ魅力に魅かれるのは、スナップ撮影で人々の生活の様子を撮りやすいからなのだろう。日本では、「下町」といえどもすでにこういう光景は見られない。その代わりに、「祭り」「縁日」「イベント」などに、そういうモノを求めて撮りに出かける、というわけである。したがって、作者は、日本でと同様な撮影方法でこの町の人々に向かい合っている。それにしても、被写体となってくれたこの人々は、カメラマンの存在をほとんど気にしていないようである。この3枚に力があるのは、カメラがまるで「空気のように」自然にこの人々の間を行き来しているというところである。特に③のチェスに興じている大人二人の写真に目が引かれる。それぞれ、何かを売っているのだろうが、商売そっちのけの二人をよく正面から捉えたと思う。この③を3枚の中心に置いた方が左右への広がりが生まれ、面白い作品になると思う。




