「秋祭り」 遠藤 啓 

 選評 : 全日写連関東本部委員 中村明弘

 祭りの賑わいからは少し離れた、「静かな時間」が描かれている。①祭り半纏(はんてん)が肩からずり落ちそうな女の子が急ぎ足で歩いていく。手には「祭り」に参加したお土産だろうか。後姿がうれしそうだ。②は紅白幕に囲まれた大きなご神木の前を、手押し車を押しながら通りかかったおばあさん。③は、半纏に白足袋の男性。祭り役だろうか腕に腕章をつけて、「寄付者一覧」の表示の作業中である。それぞれの胸は、祭りの高揚した気持ちに満たされているに違いない。描かれた3人の人物が、画面の同じ高さに配置されているのは偶然だろうか。このことが作品に安定感を与えていて、まるで作者と一緒にこの場にいるような爽やかな気持ちにさせてくれる。味わいのある作品である。