「影」 井上沙登子

選評 : 全日本写真連盟関東本部委員 手島直利

ハスの葉でしょうか。池の淵に行けばこういう状況はよく見ているのではないかと思いますが、そのさりげない所を上手く捉えた作品だと思います。特にこの影は、かなり大きな影だと思いますね。題名どおり影が写って、井上さんの視点が十分写っていると思います。尚、その影の真ん中にハスの花びらが一輪、ぽーと浮いて写っていて、幸運にも影の部分に写っている。これがもしコンクリートの所にあると、ちょうっとこれだけのハスの花一輪が目立たないと思います。そういった点では、良い所に一輪の花が落ちていたと思います。この作品の見所は、まずポイントは影、そしてハスの花一輪がポツンと落ちていたということですね。これが脇役で大きな役目をしていると思います。

「影」 井上沙登子