「すだれごし」 新谷千鶴子

選評 : 関東本部委員 手島直利

なかなか大胆な作品です。今までにも「簾ごし」という作品はたくさんありましたが、提灯の影が簾に映って暗くなり、そこから簾ごしに明るい光を受けた人物が見える。それを、上手く露出をまとめてシャッターを押したという点がまず素晴らしいです。また、影だけではなく、右側の上のほうに提灯の実物を少し入れた構図の取り方が非常に上手いと思います。その上、女性の笑顔が提灯の影の中で輝いています。影の部分の上半身と簾だけの下半身、その影が対照的であり、左側から下にかけての簾の余白も活用されています。大胆な構図の中に、非常に繊細に気を使った素晴らしい作品ですし、お祭りの裏の作品として最高のものになりました。

「すだれごし」 新谷千鶴子