「秋を感じてはしる」 植松きくゑ

選評 : 関東本部委員 横田正大

密集する住宅地の小路でしょうか。住民の手で無造作に植えられた色とりどりの秋の花が咲いています。一人ひとりがやっとと折れそうな場所を家から家へバイクで新聞配達する青年。すれ違うときにすかさず押したシャッターチャンスが生きています。

スローシャッターでぶれたバイクのライト、黄色いかご、白いヘルメットに青い制服が、秋に草花とマッチしました。日常生活の一こまを描写したさりげなさが秀逸です。

写真には写っていないけれど、お花を植えた住人の人柄も浮かんできます。

「秋を感じてはしる」 植松きくゑ