「形見」(姑から嫁へ) 鈴木美佐子

選評 : 全日写連関東本部委員 横田正大

光芒の中に絣柄の着物が掛けられています。静寂の中から三代にわたって引き継がれた着物への思い出と愛着が伝わってきます。

仲良く助け合って過ごした懐かしい日々。そうでもないことも、時が流れて薄れていく・・・・。日常生活の中から紡ぎだした「私写真」と言えるでしょう。

左上から右下にかけて斜めにぶらせて走る光跡が効果的です。背景の障子と相まって幾何学模様にパターン化した日本の美意識を象徴するような写真になっています。

こういう題材を写真にしたセンスが素晴らしい。

「形見」 (姑から嫁へ) 鈴木美佐子