全日写連賞  「至福な時間」 加藤利光

選評 : 土田ヒロミ

 祭りの始まりを静かに期待して待つ神聖な境内。狂乱の騒々しさと対極にある静かさがただよう情景。だが、参道に飾られた鮮やかな提灯の列や屋台の商品が、今にも迫ってくる騒々しさを予感させる。そのさりげなく取り込む構図がいい。聖と俗のバランスを混在させるフレーミングがおもしろい。笑顔の夫人も祭りへの期待を予感させて効果的。