審査 土田ヒロミ(写真家)

■総評

細江神社の祇園祭は、神社空間的なスペースや祭礼の内容的な幅が限られているためか、類似作品が多く見られた。撮る側に対して、祭りの規模が小さいという関係なのでしょう。それに加うるに、実力者同士のバトル、争う撮影現場が一層そんな結果を生んでしまったのだろう。クライマックスである酒を強要する様子、酒気に乱舞する男女のエロチズムは、この祭りの本質。良質な作品が集中していた。

しかし、それ以外の祭りの周辺部に投げかけた視線の作品もあり、それらにも注意深く、祭全体が現われるよう細部まで広げる審査した。撮影会というイベントは、多くの参加者によって、中心から周辺まで、結果的に幅広い事象、全体を捉えることを可能にしてくれる優れた団体作業といえる。