「一服」 南波 進

 なぜこれが最優秀賞?との向きもあるやもしれませんが、選者にはとても新鮮。ただ男性が一服しているありふれた(昨今ではそうでもないですが)普通のシーンですが、どこか非現実的な夢のような光景に見えてきます。独特の柔らかな光、紫煙の密度のある流れ、そして隠れた男の顔、もしや柳(?)の下には……といった要素が一体となってそう思えてくるのかも知れません。必ずしもスペクタクルのある光景ではなくても、こんな魅力的な写真が撮れるのだという一例としても貴重、と推しました。