第61回静岡県写真展 上位入賞作品 

総評 : 審査員 日本カメラ誌編集長 前田 利昭

小誌『日本カメラ』の月例フォトコンテストでのめざましい活躍ぶりで、静岡のアマチュア写真家の方々の高い実力はかねがね強く認識しておりましたが、今回、初めてこのコン テストを審査して、あらためてそれを実感しました。それぞれに隙のない、作品化する意識の高い応募が数多く見受けられました。ただ、まさにその隙なく作品化しようとする意識が勝っているせいか、少し窮屈な、優等生的な感触も同時に覚えました。特にモノクロームではモノクロという性質上、その傾向が強く、「みんなうまいなあ、でも……」といったぜいたくな要求がどうしても頭をもたげてきます。その点、カラー部門ではこれはちょっとという、解像度自体が足りていないようなプリントも散見されましたが、もう少し伸びやかな自由な表現も見受けられました。組写真の部では、他のコンテストと同じように、組んでいく作業でつい弱気になってしまい、強いイメージの一点を加えてしまい、かえっ てバランスを崩してしまうような例が多い気がしました。私の乏しい体験ではありますが、?ある程度写真がうまくなってきた?(撮ることに慣れてきた)時期が、一番難しいのかもしれません。できれば評価された自身の写真をただ学習することなく、新たな表現にチャレンジして頂くとさらに写真が楽しくなってくると思います。そんなことを考えながら、選んでみました。