「雨宿り」 畠 仁史

選評:全日写連総本部理事 林 喜一

味わいのある素晴らしい作品である。提灯は力のない明り具合でフィルムに近い自然な色合いである。登場人物のしぐさもいい感じで、この切り方が一つの物語になっている。プリントも力んだところがなく、自然体で見られる。細かく言うと軒先、暖簾、提灯の質感や、右の男の人のこうもりとその後ろの黒や、いろいろな人たちの黒いところがつぶれていないなど、黒の質感もよく出ている。雨宿りで軒先まで雨が舞い込んで、濡れているところもしっかり見えている。ぱっと見では目立たないが、見れば見るほど雰囲気、描写、味わいが卓越している。

「雨宿り」  畠 仁史