「おまえが一番」 大川道雄

選評 : 全日写連関東本部委員 中村明弘

たくさんの荷物を肩や手にして乳母車を押すこの若いお父さんの中腰の姿勢が、この写真の意味合いをすべて表している。それこそ娘さんの一挙手一投足が気になり、可愛くてならないのだろう。そんな父親の表情と帽子を持って澄ました顔の女の子の表情の対比が、なんともほほえましい。

 バックの柔らかそうな明るい緑と、そこに点々と咲いているハイビスカスの赤い花が、少女の服や靴の赤い飾りにまで広がったようで、作品にいっそう温かさを生み出している。親子の帽子の青色と白色も印象的である。

「おまえが一番」 大川道雄