「喧噪の後に」 (3枚組) 矢島一美

選評 : 全日写連関東本部委員 中村明弘

祭礼のクライマックスである宮入。境内は熱狂的な掛け声と熱気に包まれる。その流れを追っての3枚組。写真で声や音そのものを表現することはもちろん不可能なのだが、3枚目にシーンと静まりかえった場面を入れることで、宮入の喧噪を際立たせた。フラッシュの光が、やや写真を平たく見せてしまったが、氏子たちの表情や神輿の描写など、きちんと見えることによる写真の力も、ここにはある。よく考えられ、骨格のしっかりした組写真である。