選評 : 全日写連関東本部委員 中村明弘

壊れかけたコンクリート構造物の一部分に、面白い形を見つけ出している。コンクリート肌や、鉄、木材などの質感をしっかり表現していることで、単なる造形の面白さに終わっていないところがいい。いつ取り壊されるかわからないが、長い年月を経て今ここに存在しているモノへの作者の想いも感じられる。特に、真ん中の写真には、時間の重なりを感じさせる要素が詰まっていて、味わい深いものがある。左右の写真の暗部をもう少し出すと、イメージはもっと広がるものになるかもしれない。真四角の写真にしたことがよかったかどうか、少し疑問も残る。