「東京サクラ便り」 水野隆子

選評 : 全日写連関東本部委員 中村明弘

日本であって日本でないような、そんな風景、時代…、そういうものをさらっと描いているようだ。ああ、こういう「今」のとらえ方というものがあるのだと、目からウロコが落ちる思いがした。この撮影場所そのものがそういう「日本であって日本でないような」場所だということもあるのだろうが、カメラはロバート・フランクの『THE AMERIKANS』のような冷めた目で「その光景」を写し撮っている。そういう意味では右の一枚は「普通」なのだが、スマホをかざす現代女性と、「自由」を象徴するトーチを掲げる女神との対比も、また面白い。こういうカメラアイで20枚も、30枚も撮って見せてほしい。