「陽だまり」 吉川正宏

選評 : 全日写連関東本部委員 中村明弘

 

冬の陽だまりに座る猫。何をするのでもなくじっと外を眺めている。脇にある茶碗には少しだけ食べ残しがある。そのことが、ゆったりとしたこの猫の生活ぶりを感じさせる。まるでこの猫の影そのものかと思わせる丸いカーペットに描かれた猫の顔…。このセッティングは偶然だったのだろうが、大きな耳や目もあって、なんともユーモラスである。

障子戸の開き具合が、広すぎもせず、狭すぎせず、この猫のための絶妙な幅になっている。猫が自分で障子戸を開けた…?まさかそんなことはないだろうが、ゆったりと暮らすこの猫の幸せ感と、家人の温かさがしみじみと感じられる。それはこの冬の陽だまりの温かさのようでもある。

逆光に浮かび上がった猫の頬、白い髭。茶碗の丸い影も効いている。光と影…、まさしくモノクロの特性を生かした作品だと言えよう。

 「陽だまり」 吉川正宏