「風に吹かれて」 沼津市 狩野川堤

神尾 一  2020年11月3日 撮影

■撮影者コメント
 狩野川堤沿いを歩いていたら、久し振りに観光用の渡し船を見掛けた。昔は沼津港と対岸の我入道を結ぶ“港大橋”が無かったので、この船よりは大型の、ろ漕ぎの渡し船が運航されていた。小、中学生の頃は良く乗っていたが、渡し賃は5~15円位だったと思う。人間だけでなく、自転車や、リヤカー、荷車を引く牛なども一緒に乗船していたことを覚えている。観光用として20年ほど前にコースを変えて復活した。この写真の辺りは、昔、武田勝頼の出城“三枚橋城”が有った辺りで、江戸時代には徳川幕府の老中・水野氏が城代を務め、名前も“沼津城”と改名された。太平洋戦争中の大空襲で、市内は焼け野原、城も壊滅状態で、わずかに石垣の一部が保存されているのみである。後ろの町並みも、私が小、中学生の頃には、なまこ壁の土蔵群が並び、大きな料亭や、芸者置屋が軒を連ねていたが今やその面影は無い。今、この船に乗船しているのは、県外、市外の観光客だろうからそんな町の歴史は知らないと思うが、温暖な川風に吹かれながら楽しそうに周りの景色を楽しんでいる様だ。今時ろ漕ぎの和船も珍しいし、川面は広いし、風も有り、ここなら“コロナ感染”の恐れも無し、楽しい観光が出来るかも・・・。