「舞う書初め」  遠藤 啓

選評 : 全日写連関東本部委員  中村 明弘

 地域の伝統的な行事を、はっと息を飲みこむような瞬間のシャッターチャンスで小さなドラマに仕立て上げたところが、この作品の魅力となっている。団子を焼こうと準備している子供たち。その目前で、燃えながら舞い上がる書初め。驚く女の子のびっくりした表情がすべてを語っている。なんともうまい「偶然」をとらえたものだ、しかし、何かが起こりそうだと予測した撮影者の冷静な判断があってのことだろう。ちなみに、燃え上がった書初めには「地」という文字が読める。「大地」かもしれない。書かれた字が読めるというのも、この写真では強いインパクトになっている。