「まなざし」  池田 三吉

選評 : 全日写連関東本部委員  中村 明弘

 被写体の魅力、写真の魅力を十分に満たした作品である。何といってもカメラを見つめる目に力がある。カメラを向けられて動揺するでもなく、カメラマンに媚びているでもなし、堂々とモデル自身が自分を主張している。桜の花を口元に持ってきたこのポーズはカメラマンの指示だったのかどうか…。少し戸惑いの表情も見られるのだが、そこが何とも魅力的だ。手元の赤い紐、胸元に光るペンダントも効いている。右斜め後ろからの光が髪を照らし、この作品に、命を吹き込んだ。