「黄昏時」  大石 憲一

選評 : 全日写連関東本部副委員 神尾 一

 黄昏時の堤を歩く、二人の子供達と、それを追い抜いて走り去る少年の一瞬の光景を見事に切り取った、正に『これぞ写真!』と言う様な素晴らしい作品である。後ろに見える煙突が立ち並ぶ様に見える建築物は、排水溝の水門だそうだが、暮れかかる日の光に照らされて、牧歌的な雰囲気をより一層高めて居る。JPG で写した画像をそのままで、少しコントラストを上げたのみと言うから、細かいレタッチはされて居ないが、却ってそれが素直に目に入り、肉眼で見たそのままの爽やかな印象を与えてくれる。この作品を見ていると、『~カラスが鳴くから帰りましょう~』と、言う童謡の一節が頭に浮かぶ、日本ののどかな田園風景の原点の様な作品である。点景に入れた、人物、建物の大きさも丁度良い。