「落ちた太陽」  渡邊 修一郎

選評 : 全日写連関東本部副委員 神尾 一

 何ともファンタジックで不思議な写真である。この写真を見た瞬間、何故か昔の映画、”若草物語”を思い出した。あれは確か四人姉妹の物語りであったが、この作品では三人の少女達が浜辺で夕日が沈んでいくのをシルエット風に写し、中の一人がスマホを片手に持っている事で、”今”を感じさせる。この少女たちは何を話し合っているのか?どんな関係なのか?等々色々な想像を掻き立てられ、不思議な物語の世界に引きずり込まれる。画面上には、さざ波が立って居る様な感じがするので、水面への映り込みを写したのであろうが、沈みゆく太陽を中央の少女の足の間に配置したカメラの位置取りや、シャッターチャンスも良い。まことに夢の有る優れた作品である。もう少しカメラを引いて周囲の状況が分かれば更に物語性が増したのではないだろうか?