「平穏の祈り」  加藤利光

 タイトルからすると作者の意図したものと違うと思いますが、私は世紀末感が漂う作品だと思いました。たった1本灯がともる献灯台、乾いたひしゃく置き、歳月を感じさせる絵馬など、お寺のいわば「陰」の部分を切り取り、ここは廃寺ではないかと思わせるような演出にも見えるからです。いずれにしろ目の付け所がいい作品です。