「アトリエの窓辺」  竹之内範明

 選評 : 全日写連関東本部委員 中村明弘

 作者が訪れた建築家のアトリエの窓辺に突然現れた猫。ガラス窓と網戸にはわずかに水滴が残っている。雨上がりか、それとも家人が庭への水やり途中だったのか…、いずれにしてもそんな窓辺にふわっと登場した猫に、作者は思わずカメラを向けた。猫とカメラマンとの瞬時の出会い…。やや緊張した雰囲気の猫。足元の瀬戸物の器は猫用の食器…? 猫にとってここはいつもの自分の場所で、侵入者は作者の方だったのだ。この出会い…。こんなところにも、小さなドラマが潜んでいる。写真はそんなところを拾い上げ、写真を見た者を、共にその瞬間の証言者にさせてしまう。それにしてもこの猫、たくましい!ガラス窓が無ければ、カメラマンに飛び掛かっていたかもしれない…。