「うららかな春」古池貞夫

選評 全日本写真連盟関東本部委員  小野崎 徹

奈良ではお馴染みの鹿のいる風景。でもなにか違う雰囲気が漂っています。鹿せんべいをあげている人もいないし、観光客っぽい人もいない。手前の人はスマホに夢中、左の女の子は鹿に無関心のよう。左右に人物が広がる中、中央に鹿に触るランドセルの女の子。うまく人物を配置した演出写真のような光景です。鳥取出身の写真家・植田正治の作品を彷彿とさせます。決定的瞬間を切り取っています。