「天女降臨」 鈴木 茂

選評:全日写連関東本部委員長 江連 康晴

この作品で興味を引くのが、背景の建物と天女に扮する人物との取り合わせがとてもマッチングしていて、その時代の雰囲気を物語っているような錯覚に陥ります。二人の人物の姿態も動きある一瞬をうまくとらえています。ここで特筆するのは建物の右下がりのライン。人物の広げた斜めの腕のライン。そして足元の石畳の斜め右上へのラインが交差することで、この作品の画面を引き締めて奥行き感も醸し出しています。この放射状になった構図から飛び出してきたように写し込まれています。視線が自然と奥へといざなわれていき、この後の続きで違う天女が現れてくるのかと期待してしまいます