「若夫婦の微笑」 青木 康
選評 : 全日写連関東本部委員 中村明弘
若い父親が赤ちゃんを「ベビーキャリア」で胸の前に抱っこしている。カンガルーの赤ちゃん袋のようなイメージだが、昭和の時代に子育てしたものにとっては珍しい代物である。あの頃、男親が赤ちゃんを抱っこ紐で背負って「お街」を歩いたかどうか…。この作品の最初の印象は、改めて若い人たちの子育ての「今」を垣間見た思いである。若い父親の両手には水筒とスマホ。その横で笑顔で赤ちゃんと目を合わせているのは母親。彼女が押しているベビーカーの一部も見える。父親の笑顔は堂々と撮影者に向けられたもの。その自信に満ちた笑顔には幸福感があふれ、それがまっすぐに伝わってくる。街角のビルの間から西日が若い夫婦の横顔と赤いコートに優しく射しかかる。「子育て、がんばれ!と作者もシャッターを押す。