「日向ぼっこ」 金崎 茂

選評 : 全日写連関東本部委員 中村明弘

 「じいじ」がカメラを構えてぬっと目の前に…。カメラはこの幼子にとっては「不審物」なのだ。優しい「じいじ」でなく四角い黒い箱がぬっと突き出されては、びっくりして少し固まってしまったのも仕方がない。心地よい日のぬくもりの中ですやすやと、とはいかなかったのだ。一方「じいじ」の方はいいショットが撮れてさぞご満悦といったところだろう。この後、赤ちゃんの頬っぺたを気分よく「ツンツン」などしたに違いない。この子が「じいじ」の構えたカメラに笑顔で応えてくれるのは、いつだろうか。だが笑顔もいいが、こういう表情も貴重なものである。たくましい両足がぐっと体を支えている。よく見ると足の指で支えパイプを握っているようでもある。そんなところに気が付けばもっと「面白い」作品になったかもしれない。撮るものと撮られるもの。「じいじの格闘」はここから始まるわけである。