「基地づくり」 竹之内範明

 選評 : 全日写連関東本部委員 中村明弘

波打ち際に作られた何とも危うい「基地」。流木やタイヤ、竹などで実に巧く作ってある。ここまで作るのにどれほどの時間を費やしたのか…。もう、これで完成だろうか…。写真を眺めていると、いろいろな想像が駆けめぐって実に楽しくなる。

一人の少年がこちらを見ている。カメラを構えた撮影者との間に緊張が流れる。作者は、この時間を壊したくないと、これ以上彼らに近づくことをしなかったに違いない。

きっと明日、少年たちはまたここに来るのだろう。そして波が壊していった「基地」の残骸を目にして、彼らは何を思うだろうか。寄せては返す波のように、「子どもたちの時間」は、永遠にそれが続くかのようにゆっくりと流れてゆく。私たちが子どもだった時の「時間」も、そうだった…。心に沁みる一枚である。

「基地づくり」 竹之内範明