「ふざけっこ」 池田三吉

 選評 : 全日写連関東本部委員 中村明弘

 山車はまだ出発してないのだろう。恐々太い綱を持ってみたという感じの女の子ふたり。そのうれしそうな笑顔がとらえられている。今こうしていることを確かめ合うようにして互いに顔を見合う表情が何と生き生きしていることか。今年が初めての参加なのかもしれない。後ろの大人たちの顔は見せないフレーミングも巧い。この場の高揚しつつある雰囲気が伝わってくる。ちょうどこの二人の背中に日が当たり、髪の毛が輝いている。二人の顔を明るく調整もしているのだろうが不自然でない。正面から堂々と、子どもたちの自然な姿を見事にとらえた腕の冴えを感じさせる作品である。