「ママの背中」 遠藤 啓
選評 : 全日写連関東本部委員 中村明弘
「疲れた…、もう帰ろうよ…」と母親の背に体を預ける少女。母のぬくもりが頬に伝わってくる。いや、母の背にこそ娘の頬の温かさが伝わっているのだろう。安心して母の背に体を持たせかける少女の横顔のなんと美しいことか。もしもこの姿が、砲弾の飛び交う「瓦礫の街」の中に在ったなら…。この平和の中に在ってこその少女の表情に、ほっとするものがある。写真に写っている余分なものはなく、単純にこれだけなのに、想像や想いが膨らんできて、じっと見入ってしまう作品である。